1. はじめに:FP3級は「やり方」で決まる
FP3級は範囲が広い一方で、出題の型がはっきりしている資格です。だからこそ、むやみに全部を暗記するよりも、型に合わせた手順で回すほうが早く・確実に点が伸びます。この記事では、私が実際に使った「みんなが欲しかった!」シリーズを軸に、インプット→演習を2周+直前模試2周で合格点に乗せる再現性の高い手順をまとめました。
この記事のゴール
- 使った教材3点の役割分担と使い分けがわかる
- 2周学習+模試2周の回し方(いつ・何を・どの順で)を具体化
- CBT(Computer-Based Testing:コンピュータ受験)の緊張を、模試で事前に“体験消化”するコツを共有
ひとことメモ:
私が「良かった」と強く感じたのは、CBT模試を事前に受けられたこと。本番と同じ要領(画面操作・見直しの流れ・時間配分)で試せたので、当日の不安がほぼ消えました。
想定読者と学習時間の目安
- 想定読者:
- はじめてのFP受験/独学中心で進めたい方
- CBT形式が不安、どこから手を付けるか迷っている方
- 学習時間(目安):2〜6週間/合計30〜60時間
- 平日30〜60分+休日2〜3時間のペースでも十分間に合います。
使用教材(すべて2025-2026年版・TAC出版)
- 【動画&アプリ付き】みんなが欲しかった! FPの教科書3級
- 【アプリ付き】みんなが欲しかった! FPの問題集3級
- 【CBT模試付き】みんなが欲しかった! FPの予想模試3級(学科3回+実技2回)
試験のざっくり構造と用語ミニ解説
- 学科:6分野(ライフ/リスク/金融/タックス/不動産/相続)から広く出題。
- 実技:与えられた資料(設例・数値)をもとに判断・計算するパート。
- CBT:Computer-Based Testingの略。紙ではなくPC画面で解答します。
- 画面上でフラグ(要見直し印)をつけられ、最後にフラグ問題だけ一覧見直しが可能。
- 紙より時間管理が体感しづらいので、事前のCBT模試で操作に慣れるのが合格ショートカット。
2. 使った教材の正直レビュー
ここでは、実際に使った「みんなが欲しかった!」シリーズ(2025-2026年版)を役割・強み・使い方の3点でレビューします。結論から言うと、この3点セットだけで独学は十分完結します。特にCBT模試が“本番手順”の予行演習として強力でした。
2-1. 【動画&アプリ付き】FPの教科書3級
特長(ざっくり)
- フルカラーで図が多く、初学者でも流れがつかみやすい
- 赤シートで重要語句が隠せる → 記憶の定着に向く
よかった点
- 用語の言い換えに強い:本試験の文面で使われる表現に近い説明が多く、そのまま得点に直結。
- 図表のまとまりが良く、暗記カードを自作しなくても覚える柱が立つ。
気になった点(対策つき)
- 量があるので、“読み切ろう”としないこと。
→ 分野ごとに「読む→すぐ解く」へつなげ、読みっぱなしを避ける。
こんな人に合う
- はじめてFPを学ぶ/まずは全体像を掴みたい
- 文字だけだと眠くなるタイプ(図解多めが刺さる)
使い方(再現レシピ)
- 1周目:各節の最初の図・要点だけ“声に出して”読み、定義と数値に黄色ペン1色。
- 2周目:マーカー済みのところだけ拾い読み。赤シートで10秒説明(口頭)できなければ付箋。
2-2. 【アプリ付き】FPの問題集3級(厳選過去問)
特長(ざっくり)
- 頻出パターンに寄せた過去問厳選でムダ打ちが少ない
- 解説が短くて要点直球。赤シート対応で「問題→答えの根拠」を隠し学習しやすい
よかった点
- 設問の言い回しが本試験に近く、“引っかけ”への免疫がつく
- 同テーマの問題が固まっているので、連続正解まで回すのが楽
気になった点(対策つき)
- 細かい論点は載っていないことも。
→ それでOK。3級は広く浅く。“頻出×解き方”の再現性を優先。
こんな人に合う
- 解いて覚えるタイプ/時間が限られている社会人
使い方(再現レシピ)
- 1周目(同日回し):
- 教科書で分野Aを読む → 2) すぐ問題集の分野Aを解く → 3) ×だけチェック。
- 2周目(弱点潰し):
×だった問題だけをやり直し。“誤答理由”を3秒で言語化(例:語句取り違え/数字の覚えミス)。
2-3. 【CBT模試付き】FPの予想模試3級(学科3回+実技2回)
特長(ざっくり)
- CBT(本番同様)で模試が受けられる → 操作手順と時間配分を事前に体験
- 学科3回+実技2回で弱点パターンが浮き彫り
- 復習しやすい設計(分野別の戻り学習がしやすい)
よかった点
- 本番と同じ“画面→設問→フラグ→一覧見直し”の流れを身体で覚えられた。
- 時間の焦りが消え、前半の易問を確実に取り切る手順が固まる。
気になった点(対策つき)
- 予想はあくまで予想。
→ 出題テーマが変わっても解き方は同じ。“設問の主語と否定語”のチェックを徹底。
こんな人に合う
- CBT形式が初めて/本番の緊張を減らしたい
- 時間配分でいつも取りこぼす
使い方(再現レシピ)
- 直前期1周目:本番と同じ環境で通し。フラグ機能で「後回し」を明確化。
- 直前期2周目:×だけやり直しつつ、**“見直しの順番”**を固定(例:フラグ→計算→迷いの多かった分野)。
- スコアの見方:合格点ラインを超えても、落とした設問の“型”を必ず分類(定義・数字・制度の例外・計算)。
3. 合格した勉強サイクル(再現性重視)
この章では、あなたがすぐ真似できる「読む→解く」を2周+直前模試2周の回し方を、日単位の行動レベルまで落とし込みます。ポイントは同分野の“読み”と“解き”を同日中に並走させ、間違いだけを素早く再会させることです。
3-1. 全体設計(3フェーズ)
- 学習フェーズ1周目:
目的=全体像の把握と頻出論点の位置感覚
やること=教科書(分野A)→即、問題集(分野A)/×だけ印つけ - 学習フェーズ2周目:
目的=誤答の型つぶしと用語の言い換え耐性UP
やること=×問題だけ再演習/10秒で根拠口頭説明/赤シートで数値確認 - 直前フェーズ(模試):
目的=本番手順(CBT操作と時間配分)の固定化
やること=学科3回+実技2回を2周/フラグ→見直し順のパターン化
3-2. 1周目の回し方(“読む→すぐ解く”)
今日やること(例:金融分野)
- 教科書:節の見出し→図表→要点の順に15〜30分でざっくり
- 問題集:同じ節を小刻みに10問単位で解く(悩んだら30秒ルールでフラグ)
- 復習:×だけ解説を読み、“なぜ×か”を10秒で言語化
- 例:定義取り違え/数字暗記ミス/否定語見落とし/計算の桁
到達目安:正答率は5〜6割でOK。理解の“足場”づくりが目的です。
3-3. 2周目の回し方(“×つぶし専用”)
対象:1周目の×/迷い○/時間切れ△のみ
手順
- 問題→根拠→用語の順で逆走復習
- 10秒口頭説明:
- 「この設問は何の定義を聞いていて、どの言い換えにひっかかった?」
- 赤シート:数字・除外条件・適用要件だけ抽出して覚え直し
到達目安:分野ごとの正答率7〜8割、同テーマは連続正解を狙う。
3-4. 直前フェーズ(模試2周)の型
1周目(本番同様に通し)
- 本番と同じ制限時間&静かな環境
- 前半は30秒ルールでサクサク進み、フラグを必ず使う
- 1周目終了→フラグ一覧→計算→長文→迷った分野の順で回収
2周目(弱点潰し)
- ×だけ再挑戦し、“見直しの順番”を固定化
- スコアを見るより、誤答の型(定義・数字・否定語・計算)を数える
- 実技は設問→資料→設問の“往復”。資料から数字・条件・期間をメモ列挙
到達目安:模試で合格ラインを安定して超える+誤答の型が1〜2種類に集約されていれば仕上がり良好。
3-5. 分野別の“よく落ちる型”と対処
- ライフ:給付要件の期間・年齢の数字抜け
- 対処:赤シートで閾値だけ暗記(◯歳・◯年)
- リスク:保険の給付対象と言い換えの混同
- 対処:表で対象/支払事由/非該当を3列化
- 金融:利回りの種類と費用の含む/含まない
- 対処:定義を10秒口頭で言い切る練習
- タックス:所得区分と控除の紐づけミス
- 対処:ミニ対応表(所得→計算式→主な控除)
- 不動産:面積・税率・登記の用語取り違え
- 対処:単位・%・年数の最後チェックルーチン化
- 相続:法定相続分/基礎控除の数字ズレ
- 対処:式を声に出す→例題1つを週2で再現
3-6. CBT本番手順チェックリスト(模試で固定)
- 開始5分:易問先取り/悩みはフラグ
- 見直し1周目:計算問題→単位・年数を再確認
- 見直し2周目:否定語・二重否定の読み直し
- 終了前5分:迷い2択は定義に立ち返る(数字で決める)
3-7. 仕上げ3日間のミニ計画(例)
- T-3日:模試の×を型別に再演習(各分野10問)
- T-2日:実技の資料読み→設問往復を2セット
- T-1日:赤シートで数字・定義だけ最終確認/新規学習はしない
4. CBT本番で差がつく実践テク
「知っている」を「点に変える」最後の仕上げ。ここではCBT(Computer-Based Testing)特有の操作や時間配分を、手順として固定します。数字や制度の暗記量を増やすより、手順の最適化が最短でスコアに効きます。
4-1. 事前準備チェック(前日〜当日朝)
前日
- 予想模試の誤答だけを30〜60分で回収(新規学習はしない)
- 受験案内の持ち物・本人確認・会場場所を再確認(遅刻=即終了の可能性)
当日朝
- 赤シートで数字・定義を10分だけ流す(長時間はNG)
- 計算の最小テンプレを口で言い切る(例:配当利回り=配当÷株価)
4-2. 画面操作の“型”を先に決める
基本の3アクション
- 回答:即答できるものはその場で確定
- フラグ:30秒以上迷ったら必ずフラグ(後回し宣言)
- スルー:知識がないと判断したら潔く飛ばす(期待値最適化)
4-3. 時間配分モデル(学科・実技 共通の考え方)
原則:1周目は広く速く、2周目で点を回収。
モデル例
- 1周目(全体の約60〜70%の時間)
- 30秒ルール:30秒越えたらフラグ→次へ
- 易問先取り:定義・用語・短文は最優先で回収
- 見直し1(残りの約20%)
- フラグ一覧から計算問題→文章長い問題の順で回収
- 単位・年数・税率の桁ズレを重点チェック
- 見直し2(最後の約10%)
- 否定語(〜ない/すべて/必ず)の見直し
- 迷い2択は定義に立ち返る(常識や主観で選ばない)
迷い2択の決め方:
定義→条件→例外の順で照合。本文中の根拠語(年齢・期間・対象者)にマーカー視線を当て直す。
4-4. 学科で効くミス潰しルーチン
1周目の読み筋
- 主語チェック:「誰の年金?」「誰が給付?」「どの所得?」
- 数字は閾値だけ拾う(◯歳、◯年、◯%)
見直しの固定チェック
- 否定語の見落とし(〜ではない / すべて / 必ず)
- 単位(㎡↔坪、年↔月、%)
- 言い換え(例:表面利回り=クーポン、申告分離=申告はするが他と分ける)
4-5. 実技の“往復読み”手順
往復の型(固定セリフ)
- 設問を先に読む(何を聞かれている?数値?判断?)
- 資料へ移動して、数字・条件・期間だけメモ列挙
- 設問に戻る→要求どおりに該当箇所だけ使って答える
ポイント
- 資料は全部を理解しようとしない。設問に必要な断片だけ拾う。
- 計算は途中式を1行残す(再計算が速い)。
- 合っている自信<再現性。同型問題で手順が同じかを意識。
4-6. 計算問題ミニテンプレ(口で言える形に)
- 配当利回り=1株配当 ÷ 株価
- 相続 基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人
- 仲介手数料上限=売買価格×3%+6万円(+消費税)
5. まとめ:やることはシンプル、手順は具体的に
使うのは3冊だけ(教科書/問題集/予想模試)。回し方は「読む→解く」を2周+直前模試2周。CBTはフラグ運用と見直し順を台本化して勝ちにいく——これが全体像です。
今日からの一枚ロードマップ
- 分野Aを読む(教科書)→すぐ分野Aを解く(問題集)
- 6分野を1周したら、×だけ横断して2周目
- 直前1週間は予想模試(学科3+実技2)を2周
仕上げ3日テンプレ
- T-3日:模試通し→誤答型の数を出す
- T-2日:誤答型だけ10〜20問再演習
- T-1日:赤シートで数字・定義だけ/台本音読
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